CHAPTER 03

鑑定制度と価値の基準

How a Japanese sword's value is determined

日本刀の価値は、時代・流派・出来栄え・保存状態・伝来 ── 五つの軸で総合的に判定されます。鑑定機関が公的に発行する等級制度と、明王が査定の現場で実際に確認している審美の指標を、両面からご紹介します。

01 / Grades

公益財団法人日本美術刀剣保存協会の等級

NBTHK appraisal classes
04

保存刀剣 HOZON

美術品として保存に値すると認められた作。市場流通の主軸を成す等級。

03

特別保存刀剣 TOKUBETSU HOZON

出来優れ、保存状態良好。コレクション価値が顕著に立ち上がる帯。

02

重要刀剣 JŪYŌ TŌKEN

歴史的・美術的に重要と認められた作。美術館収蔵クラス。

01

特別重要刀剣 TOKUBETSU JŪYŌ TŌKEN

国宝・重要文化財に準ずる銘品。市場流通は極めて稀少。

02 / Axes

明王が査定で見る五軸

Five axes of valuation

時代

Era

古刀・新刀・新々刀・現代刀。古刀の上作は希少性が抜群に高く、価格帯も大きく異なります。

流派

School / Den

五箇伝(山城・大和・備前・相州・美濃)を中心に、各流派の作風と銘の信頼度を確認します。

出来栄え

Workmanship

姿・地鉄・刃文の三要素を詳細に観察し、その流派・刀工内における出来の上下を判じます。

保存状態

Condition

研ぎ減り・欠け・刃切れ・錆・鍛接面の隙間。保存状態は価値に直結する重要因子です。

伝来

Provenance

大名家・武家・著名コレクションを経た来歴は、史料的価値を加算する大きな要素となります。

03 / Anatomy

刀の構造を読む

Reading a blade — anatomy & terminology
日本刀 各部位名称 — 茎・上身・銘・目釘穴・刃区・棟区・身幅・反り・棟・刃長・横手・鋒/切先・帽子
なかご かみ 上身 みはば 身幅 反り はちょう 刃長 x めい めくぎあな 目釘穴 はまち 刃区 むねまち 棟区 むね きっさき 鋒/切先 よこて 横手 ぼうし 帽子
A
茎 / なかご (Nakago)

柄に納まる部分。銘・年紀・鑢目・茎尻の形状から作者と年代を判定する、最重要の鑑定箇所。

B
上身 / かみ (Kami)

区から鋒に至る刀身本体。地鉄・刃文・姿のすべてが鑑賞・鑑定の対象。

C
銘 / めい (Mei)

茎に切られた刀工の名。在銘・無銘で価格は大きく変わる。鏨の運びから真贋を見る。

D
目釘穴 / めくぎあな (Mekugi-ana)

柄を固定する目釘を通す穴。位置と数から磨上げや改作の有無を読み解く。

E
刃区 / はまち (Ha-machi)

刃側の区。茎との境界。研ぎ減りの度合いを示す指標となる。

F
棟区 / むねまち (Mune-machi)

棟側の区。刃区と対を成し、刀身の長さの起点となる。

G
身幅 / みはば (Mihaba)

刃から棟までの幅。元身幅と先身幅の比から姿を判じる。

H
反り / そり (Sori)

刀身の湾曲度合い。腰反り・京反り・先反りなど、反りの位置と深さに各時代の特徴が表れる。

I
棟 / むね (Mune)

刃の反対側、刀身の背。庵棟・丸棟・三ツ棟の別がある。

J
刃長 / はちょう (Hachō)

棟区から横手までの長さ。太刀・刀・脇指・短刀の分類はこの寸法による。

K
横手 / よこて (Yokote)

切先と上身を分ける線。鎬筋から棟へ直角に走る、姿勢の要となる線。

L
鋒・切先 / きっさき (Kissaki)

横手から先の刃部。小切先・中切先・大切先・猪首切先など、時代と流派を映す。

M
帽子 / ぼうし (Bōshi)

切先内に焼かれた刃文。刀工の個性が最も鮮明に表れる「顔」とも称される最重要観察点。

ご所蔵の刀、どの等級に該当するか

鑑定書の有無を問わず、まずは現状の出来・保存状態をご確認させていただきます。

査定を相談する