「相続した刀に古刀と書かれていた」「新刀と新々刀は何が違うの」——日本刀を手にした方が最初にぶつかる疑問のひとつが、この時代区分です。この記事では、古刀・新刀・新々刀それぞれの意味と、時代区分と価値の関係についての基本的な考え方が分かります。
古刀・新刀・新々刀とは何か時代区分の全体像
日本刀は制作された時代によって、大きく「古刀(ことう)」「新刀(しんとう)」「新々刀(しんしんとう)」の三つに区分されるのが、刀剣の世界で一般的に用いられている分類です。おおまかな目安として、平安時代から安土桃山時代の終わり頃(慶長年間、1596年頃)までに作られたものを古刀、そこから江戸時代中期の天明年間(1781年頃)までを新刀、それ以降明治初期の廃刀令(1876年)頃までを新々刀と呼ぶのが通例とされています。
これらの区分は制作年代のおおまかな目安であり、境界年代には諸説があることも知っておくとよいでしょう。
古刀ー日本刀の源流とされる時代
古刀は反りの深い優美な姿や、時代を経た独特の地鉄(じがね、刀身の鍛え肌)が特徴とされ、
日本刀の源流として位置づけられています。ただし「古い時代のもの=価値が高い」と単純に判断できるわけではありません。
同じ時代の作でも、保存状態、銘(作者名の刻み)の真贋、傷や研ぎ減りの有無などによって評価は大きく変わります。
古刀に分類される刀を所有している場合でも、時代区分だけで判断せず、
専門家による現物確認を経ることが欠かせません。
新刀・新々刀ー時代とともに変わる姿と技術
新刀は、社会が安定した江戸時代に入り、刀剣の需要や用途が実戦から儀礼・美術的な側面へと変化していく中で生まれた一群とされます。地鉄や刃文(はもん、刃部分に現れる模様)に、古刀とは異なる特徴が見られる作も多いといわれています。
新々刀は、江戸時代後期に古刀の技法を見直そうとする動きが起こる中で生まれた一群とされ、姿や鍛え方に古刀への回帰的な傾向が見られる作もあると紹介されることがあります。いずれの時代区分についても、断定的な特徴だけで判別することは難しく、あくまで一般的な傾向として理解しておくのが適切です。
時代区分と価値判断ー鑑定書と現物確認の重要性
時代区分は刀の背景を知る手がかりにはなりますが、それだけで評価額が決まるものではありません。
実際の評価では、次のような点が総合的に見られる傾向があります。
- 銘の真贋や作者の技量
- 保存状態(錆、傷、研ぎ減りの程度)
- 公的な鑑定書の有無(日本美術刀剣保存協会などの発行するもの)
- 市場での需要動向
そのため、時代区分だけを根拠に価値を判断するのではなく、必ず専門家による現物確認を受けることをおすすめします。
なお、相続などで日本刀を所持することになった場合、銃砲刀剣類所持等取締法に基づき、登録証(銃砲刀剣類登録証)が付いているかどうかの確認が必要です。登録証がない刀を発見した場合は、まず所轄の警察署に相談し、その後都道府県教育委員会が行う登録手続きを進めるのが基本的な流れです。手続きの詳細や必要書類、費用については都道府県の定めによりますので、文化庁や各都道府県教育委員会の案内を確認することをおすすめします。
時代区分はあくまで「日本刀を理解するための地図」のようなもの。
個別の価値判断や売却の可否は、必ず専門家による現物確認を経て行いましょう。
個別の鑑定・ご売却のご相談は、専門スタッフが承ります。